イタチ駆除 罠の設置ポイント

イタチ駆除に用いられる罠は箱罠・くくり罠・ライブトラップという三つの系統に大別されるが、それぞれ構造と捕獲メカニズム、法的ハードル、設置環境適性が大きく異なる。箱罠は金属または木製の箱内に踏板や糸つり下げ式の作動装置を組み込み、イタチが奥の餌に触れた瞬間バネか重力で扉を落として閉じ込める仕組みで、内部に衝撃が少なく個体を生きたまま確保できるため鳥獣保護管理法の「生体搬送許可」取得時に処理選択肢が広がる上、誤捕獲した希少種を無傷で放逐できる安全性が強みとなる。反面、体長二五センチ前後のイタチは警戒心が強く入口幅一二センチ以上の箱罠では躊躇して入らないケースがあるので、あえて幅九〜一〇センチの細長い筒型を選び、内壁に泥や木屑を擦り付けて人工臭を消す「エージング」を四八時間以上行うと捕獲率が向上する。くくり罠はワイヤー輪を地面に固定し四肢や胴を締めて拘束する猟友会向けの伝統的罠で、雪面や土壌に設置できるので農地周辺の踏み跡に目立たず仕掛けられるが、誤作動による切断事故を避けるため線径一・六ミリ以下、輪径八センチ以下など自治体ごとの厳格な基準が課され、加えて獲物が暴れると皮膚損傷や骨折のリスクが高いため動物愛護の観点から素人が使用すると許可取得は困難であり、住宅地では推奨されない。設置時は人臭を消すため軍手の上から薄手のビニール手袋を重ね、直径五センチの足場木片を踏ませる「踏み木方式」で正確に輪中央に体重を乗せさせると締め遅れを防げる。ライブトラップは近年普及した樹脂製メッシュケージとワンウェイフラップドアの組合せで、箱罠と同じ生捕りタイプながら重量一キロ以下と軽量で屋根裏や配管スペースに持ち込みやすく、扉はばね式ではなく重力フラップなので音が静かで室内使用に適する。マグネット式感圧板を採用したモデルは体重二百グラムのハツカネズミでは反応せず、八百グラム以上のイタチで確実に作動するため非対象種の誤捕獲を大幅に減らせる利点があるが、紫外線で劣化しやすいため屋外設置では日射避けの波板を併用し、冬季は金属バネの弾性低下を防ぐため扉軸にシリコングリスを塗布してから夕方に設置すると良い。エサは季節で変え、繁殖期は高タンパクの鶏皮、越冬期は臭いの強いカツオブシやイカくん製品を使うと誘引性が上がる。いずれの罠も設置前に市町村長名義の捕獲許可が必須で、許可票は罠付近の見やすい位置に掲示し、捕獲後二四時間以内に処置報告を行う義務がある。誤捕獲低減には「入口正面に壁を置き、側面からしか匂いを嗅げないようにして好奇心を刺激する」「捕獲後は布を覆い暗所保管で暴れを抑制し速やかに搬送する」など共通の工夫も欠かせない。環境選定は、通行量の多い屋根裏や床下には静音で軽量なライブトラップ、果樹園や鶏舎周辺の地表には再使用が効き取り外し容易な箱罠、山際の獣道や農道沿いで捕獲効率を重視するなら猟友会の立会いのもとでくくり罠、と使い分けるのが最適解となる。また捕獲後の再侵入を防ぐ恒久対策として、罠設置と並行して通気口を四ミリ金網で塞ぎ、屋根裏断熱材に鉄粉入り忌避剤を散布し、外周に防獣ライトを設置すると長期的な被害抑制に繋がることを忘れてはならない。

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