ウォーハンマー40kのスタートセットのダーク・ヴェンジェンスには「ダークエンジェル」と「ケイオススペースマリーン」の2種類のアーミーのミニチュアの一部が同梱されており、すぐに遊べるようになっています。が、すぐに、というのはちょっと語弊があって、ミニチュアは全て未組立、未塗装なのです。つまりプラモデル並みに作らないと遊べません。
先日、ケイオススペースマリーンの歩行型戦闘兵器「ヘルブルート」を塗装してみたのですが、初めてということもあり、なんと8時間かかりました。ダーク・ヴェンジェンスに同梱されているミニチュアは48体(オマケも入れると49体)もあり、これでは全部塗り終わるのはいつになるかわかりません。
いきなり心が折れそうになりましたが、そんなはずは無いだろうとGoogleで検索してみたところ、やはりミニチュアならではの早く塗る方法がいろいろあるようです。その中から海外の動画でみた方法を試してみました。
実験台となるのは「ケイオス・カルティスト」。ケイオススペースマリーンの雑魚兵士です。アーマーに身を包んだケイオススペースマリーンに比べ、ピストルと棍棒に鎧は無しというケイオス・カルティストは、まるで北斗の拳の雑魚キャラそのものです。
ダーク・ヴェンジェンスのパッケージ写真より
まずは下地を作るためにシタデルカラー・ケイオスブラックのスプレーで黒く塗ります。普通、塗料の食いつきを良くするために塗るサーフェイサーは薄めの色ですが、ウォーハンマーのミニチュア塗装用のシタデルカラーは隠ぺい効果が高いらしく、黒を使うのだそうです。これだと細部の塗り残しがあってもシャドウになってくれるので楽そうです。
ウォーハンマーのミニチュアですが、とにかく小さいです。ペットボトルのフタと較べてもこのサイズ。プラモデルの塗装は昔ずいぶんやったので自信があったのですが、さすがにこれだけ小さいときれいに塗るのは大変そう。
土台(ベース)があるとはいえ、手で持つのも大変で、このままだと塗りにくいし落としそうです。海外の動画をみたら、皆さん塗装用の持ち手のようなものにくっつけて塗っているのですが、どういうものか詳細がわからなかったので、アリ物で作ってみました。
とりあえずペットボトルのキャップにテープのりを何度も塗りつけ、ベタベタにして貼り付けました。本当は両面テープが良かったのですが見つからず。でも十分持ちやすくなりました。
先に面積の大きい色から順に塗っていきます。一般のプラモデルでは、暗い色を明るい色で塗りつぶすのは難しいので明るめの色から塗りたくなるのですが、隠ぺい効果の高いシタデルカラーは気にしなくても大丈夫っぽいです。
はみ出しても後で塗りつぶせばオッケーらしいので、今回はスピード重視でどんどん塗ります。
黒の下地の上に肌色っぽい薄い色を塗っているのですが、二度塗りしなくてもいきなり発色します。シタデルカラー、すごいかも。しかも水性なので筆は水でバシャバシャ洗うだけ。アクリル系ですぐ乾くので特に待ち時間なくつぎつぎ塗れます。
シルバーも塗って一度目の塗りは完成。今回はスピード重視ということで、あまり色を悩まず、少ない色で適当に進めます。雑魚キャラはそれなりにしないとキリがありません。スタートキットですらケイオス・カルティストは20人もいるのです。大規模戦になったら100体超えそう。
塗り終わった状態としては小学生のプラモデル並みです。パーツごとに色を変えて塗り分けているだけで、シャドウやハイライト、細かいモールなどは無視しています。色の境目だけは注意して塗りましたが、奥のほうの筆が届きにくいところは黒が残ったままですが、これで十分とのことです。
この上からウォッシュと呼ばれる塗料を塗ります。最初ウォッシュという名前を聞いたときは、ウォッシング塗装をするのかと思いましたが、かなり違う方法でした。普通のプラモデルのウォッシング塗装は、下地のカラーとは溶剤の異なる塗料を薄めて上から塗り、ティッシュで拭き取ることで隙間に塗料を流し込んだり汚したりする塗装方法なのですが、これは拭き取りません。
私の見た動画ではシタデルウォッシュ・バタブブラックというカラーを使っていたので買いに行ったのですが、お店で聞いたらウォッシュは古いシリーズのときの名称で、現在はシェイドという名前に変わっています。今回つかったのは黒ベースのナルン・オイルというカラーです。
ナルン・オイルは一見、すごく薄まった黒という感じです。汚れた筆洗いの水みたいです。これを筆につけ、ビチャビチャと塗ります。ちょっと勇気がいりますが、恐る恐る銃あたりから塗ってみます。
凹みに黒い水が溜まりますが、これが大事で、乾くとシャドウになってくれます。全体的に色が暗くなりますので、あらかじめ明るめの色を選択していました。暗くしたくないところは、この段階で水で拭っておくのもアリみたいです。
先ほどの塗り絵状態から、印影と汚しがついて良い感じになりました。単純にベタベタ塗っただけなのでかかった時間は10分たらずです。半乾きになってきたら逆さにもってさらに下の方の面だけ塗り重ねます。下の面の影を強くすることで立体感をだすためです。
くぼみに塗料がぼってりと溜まってますが、すぐ乾くので気にしないでそのままにします。10分ほどで乾きますが、待てないならドライヤーで乾かしてもOKみたいです。
シャドウが塗り終わったら、全体的に暗くなってしまうので、ハイライトだけ軽く入れます。元の色の塗料を筆に少しとり、ペーパータオルで筆にほとんど塗料が無いぐらいまで拭き取ります。ドライブラシという塗り方です。
表面を軽くカサカサと撫でるように、筆に残った塗料をなすりつけます。ベタっと付くようなら筆の拭き取りが足りません。付くかつかないかぐらいの感じです。
最後に少し白っぽい茶色でもう一度ドライブラシでほんの少しハイライトを入れます。
これで完成です。ここまでかかった時間は1時間ほどでした。初めてだったのと写真を撮りながらだったので、慣れたら30分ぐらいでいけそうです。もっと細部を塗りこみたい気持ちもありますが、とにかく雑魚キャラは数が多いので、ほどほどにしておかないといつまでたってもアーミーが完成しません。
ウォッシュと呼ばれる塗装方法の感想は、塗料の流れ込み具合が成り行き次第ではありますが、この印影をグラデーションでつけるとなると数時間はかかりそうなので、それが10分で終わるなら背に腹は変えられないといったところです。慣れてきたらもっとコントロールできるのかもしれません。
ベテランの人のブログでも、割り切りが肝心、筆が届かないところは見えないところと考えよう、兵の強さに合わせて手間をかけよう、などの言葉がありましたので、あとは時間をかけるよりも数こなして上手になりたいと思います。